看護師便り

東京都済生会向島病院、看護部のブログです。看護師が交代で日々の出来事や想いをお届けします。

看護師便り 曖昧さと不安について改めて考える

2023年04月01日

いつも、看護師便りを見ていただきましてありがとうございます。今年は桜の開花も早く、上野公園の桜が満開になったのも3月と早かったですね。以前、住んでいたところは通り道に桜の木があったので、春の訪れを感じられましたが、今は近くにはないので少し寂しいです。

 

さて、2023年3月13日からマスクの着用が緩和され、5月8日からは新型コロナウイルスの対応も変わる予定になっています。制度や習慣が変わるときは、情報の混乱も起きやすく、不安が強くなる人もいるのでないかと思っています。そして、時に周囲の発言や行動に敏感になり、他者に批判的になってしまう人、心に疲れを感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

はっきりしないこと、いわゆる曖昧なことに不安を感じる人は多くいます。皆さんはいかがでしょうか。もちろん、不安への対応は人には個人差があります。曖昧さが苦手な人、曖昧さを受け入れ楽しみを見出せる人もいると感じます。この“曖昧さ”について、改めて調べてみると曖昧さに対する対処行動について調査してる論文を発見しました。

 

中嶋・奥野(2020)は、「曖昧さを受容することは適応感を促進させることにはつながるが、問題価値を切り上げる、反対に、問題価値を切り下げる、開き直る、静観するといったさまざまな対処行動にもつながることが示されている。ゆえに、曖昧さをただ受け入れればいいというわけではなく、その対処行動を肯定的なものにする必要がある。逆に、曖昧さに不安を感じることで、積極的な対処行動が導かれることもあると考えられる」と述べています。さらに「曖昧さに不安を感じることが、現在向き合っている問題の価値を高めるきっかけになることが示されたため、そういった感情の体験は貴重であると考えられる。同様に、曖昧さを統制しようとするような否定的態度が、計画や再検討といった積極的な対処行動につながることも示されている」と述べていました。

 

この論文を拝読し、単に曖昧さに寛容か、非寛容かといったものではなく、曖昧さに対して主体的な対応行動がとれているか見ていくことが重要なのだと感じました。

私たちが生活する中で、今回の感染症以外にも曖昧なことは沢山あるでしょう。私自身、曖昧さから強いストレスを感じた事もありました。その時の対処行動を思い出しながら、改めて“曖昧さ”とはどんなことか、曖昧さがもたらすストレスを考え直す機会になりました。

 

看護部長  佐久間 あゆみ

 

【引用文献】

中嶋・奥野(2020):曖昧さに対する態度が適応感と対処行動に与える影響(現代行動科学会誌 第36号, 33-42)

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